これからの教育について考えたい

「うちの子、やりたいことないんです」ロボコン世界7位の息子を育てた夫婦の答えとは

こんにちは!Go Visionsのこにまゆです。

今回は、2021年7月11日に開催された、ロボコン世界大会2年連続で世界ベスト8の息子を育てた、小助川夫婦の子育てトークイベントの内容をお届けします!

子どもの好奇心や意思を尊重する小助川家の子育てについてや、これまでの子育ての中での悩みや葛藤なども赤裸々に語っていただきました。

共感できるお話や、お子さんとの向き合い方のヒントが見つかれば幸いです!

実際のイベントの様子をご覧になりたい方は、記事の最後に動画を公開しておりますので、ぜひチェックしてみてください!

登壇者紹介&小助川家について

今回は夫婦セミナーということで、Go Visions代表・小助川将と奥様の陽子さんにご登壇いただきました!

お二人とも教育や子どもに関わるお仕事をされているご夫婦です。

小助川 将

2003年慶應義塾大学卒業後、戦略コンサルティング会社へ入社。株式会社リクルート、グリー株式会社、株式会社LITALICOを経て、2019年6月Go Visions株式会社を創業。

二児の父で、長男は最年少でWorld Robot Olympiad世界7位入賞し、現在はシンガポールの中学へ進学。長女はネットの高校「N高」に進学。

小助川 陽子

現在は、LITALICOライフ事業部にて子供の個性を伸ばす進路の選択、教育費やライフプランについての講師や数多くのご家庭へコンサルティングを行う。

小助川家の子どもたち

長女(高校1年生):

マンガ・ゲーム・歌・ダンスが好き。公立小学校に通っていたが、小学校2年生の時の先生が子どもたちを攻撃するということがあり、小助川家で教育について考えるきっかけになった。

小学校卒業後は中学受験を経て私立の中高一貫校に進学。中学3年生の時に、高校からは「ネットの高校」N高*に進学することを自ら決意し、現在N高の1年生。

長男(中学1年生):

ゲーム・ものづくり・料理が好き。ものづくりが好きで、小学校からロボットプログラミングを学び、小3で世界大会7位、小4で8位入賞。小5で孫正義育英財団に選ばれる。小学校卒業後、単身留学し現在シンガポールの中学に通っている。

*N高:インターネットを通じた通信制高校。プログラミングやライトノベル、ゲームなどの課外授業や全国各地での職業体験で、社会で役立つスキルをプロから学ぶことができる。

「自己決定」できる子どもを育てるために

子どもの意思を尊重する

子どもたちが将来自分で幸せを掴んでいける人になるために、自己決定が大切だと考えています。そのため、親が「これをやりなさい」と指示するのではなく、自分で決定する機会を与えるようにしてきました。

子どもに「幸せになってほしい」と思ったときに「なるべく良い教育を」という思いで中学受験などを選ぶ親御さんもいらっしゃると思います。

それも一つの選択肢としてあると思うのですが、私たち夫婦は「幸せな人とは、自分のやりたいことをやっている人・自分で意思決定している人」だと考えました。

ただ、好きなこと・やりたいことは簡単に見つかるものでもないので、子どもたちに色々な経験をさせて、興味のある分野をより広げてあげるようにしていました。

親がやらせるという形ではなく、選択肢を提示して「やってみたら?」と背中を押すような形です。

夫婦間でも育った環境やバックグラウンドが違うので、常に話し合うことも大切にしていました。

子どもの興味を広げるためにどんな経験をさせるかについても、家にあったホワイトボードに「プログラミング・英語」など書き出しながら妻と話し合っていました。

基本的には色々経験した中から、子どもたち自身にやりたいことを選んでもらっていたのですが、人生において一つだけ私が「やらせたこと」があります。

周りに通っている子どもたちが多かったこともあり、幼稚園からスイミングに通わせたのですが、その時は本人の意思と関係なくやらせてしまったので「いつになったらやめてもいい?」といつも聞かれていました(笑)

やっぱり興味のあること・好きなことをすることが大事だよねと気付かされた出来事でもあります。

親と子どもは対等

やっぱり「親だから偉い」「親が正しい」というふうに考えないことが大切ですね。人として親と子どもは対等で、生きている時代も違うので、自分の常識を押し付けないことが大事だなと思っています。

例えば、子どもたちが夢中になっているゲームなんかも、頭ごなしに「やりすぎ」「やめなさい」というのではなく、教えてもらって少し一緒にやってみてはどうでしょうか。

実はめちゃくちゃ頭を使う内容だったなんてこともあります。本当に子どたちから学ぶことは多いですね。

常識を押し付けないということで言うと、非常に象徴的な話があります。オリンピックも東京で開催されますが、今スポーツはとても盛り上がっていますよね。

しかし、明治時代はスポーツをしている子どもたちを、「棒切れを持って遊んでないで勉強しなさい」「スポーツなんてやめなさい」と、世の中や大人は批判的に見ていたんです。

今と全然違いますよね。

それだけ時代によって常識は変わります。子どもが今夢中になっているゲームも、将来職業につながるかもしれないんです。

夫婦の子育ての葛藤や失敗談

長女の中学受験でバトル

まず長女の中学受験の時は夫婦でよくバトルしましたね。

長女に合う環境を考えて、教育方針が長女に合う私立の中学校に進んだ方が良いのではということで、中学受験をすることになりました。

ただ、私が中学受験にのめり込んでしまって、娘に対して「宿題まだやってないの」「なんでできないの」という言葉をかけてしまっていました。

当時は親子関係もひどくなってしまいましたし、仕事で遅く帰ってくる主人に対して「あなたは分かってない!」と荒れ狂う、というのを繰り返していました(笑)

「このままではよくない」という思いが自分の中にもあったので、娘が小6になる前に、子育て中心の生活をやめようということで仕事を始めました

「塾の宿題も私が見ることはできないから、あなたのペースでがんばりなさい」というスタンスになってからは、家族の関係も少しずつ良くなりました。

長女の中学受験の時が夫婦の関係性も一番良くなかったですね。

夫婦間のバックグラウンドの違いもありました。妻は都会出身で私立の学校に通っていましたが、私自身は秋田県の田舎出身で、公立の学校に通っていたので、最初は私立賛成派ではありませんでした。

ただ、私も私立中学について知らなかったので、一緒に説明会に出てみました。

そうすると大学の進学実績だけを大切にしている学校だけではなく、きちんとコンセプトのある素敵な学校もあるんだなということに気付かされ、中学受験に賛成しました。

どこの中学に行きたいかは娘の意思を尊重するようにしていました。

私がいいなと思っている学校の説明会にいったとき、娘が「もう帰りたい」といったことがありました。親と子どもの良いと思うものが一致するとは限らないなと思いましたね。

長男・長女の進路で葛藤

息子が小学校の時に塾をやめたときも、葛藤はありましたが本人の意思を尊重するようにしました。

ロボットの大会に専念したいということで、ずっと通っていた大手の塾をやめたのですが、正直本当にこれで良いのだろうかという迷いはありましたね。

私は、IT企業で働いていたこともあり「みんなと同じ作業を正確にできる力」というのは、どんどんロボットやAIに取って代わられているという認識がありました。

これからは他の人と同じことをやるのではなく、違うことをやることに価値のある時代だなと感じていたので、葛藤はありませんでした。

妻の「中学に行くという選択肢を残しておきたい」という気持ちも母親心としてはあるんだろうなと思っていました。

娘のN高進学についても、主人は「いけいけ!」という感じだったんですけど、私は「いけいけ!」とは言えなかったです。

「N高に進むとこういう良い点があるね」「今の学校に残るならこういう可能性があるよ」という声かけをしていました。

子どもがやりたいこととやるべきことについて

ゲームや漫画のやりすぎが心配なとき

最初はゲームばかりしているのは心配ということで、一日何時間までというルールを子どもと話し合って決めていました。

それから、ゲームを一緒にやったり子どもに教えてもらったりして、「こんなに頭使うんだ!」とか「息子いつもこんなに調べてるんだ!」という発見がありました。

自分で考える・工夫するという要素の強いゲームだったので、よかったかなと思います。

ただ、小学校の時は熱中していたのですが、今もずっとやっているかといえばそうではありません。子どもがゲームに夢中になっていると心配もあるかもしれませんが、それが一生続くわけではないなと思います。

ゲームについては仕事でもよく相談を受けます。正直なところ、依存型のゲームはハマりすぎるのもどうかなと思いますが、マインクラフトのような自分で考えて工夫できるゲームもあるんです。

漫画も、ただずっと中毒のように読むのではなく、親御さんにストーリーを共有したり、何か行動に結びつけたりすると良いと思います。

子どもは好きなことに夢中になって、そこからどんどん行動していくので、その時間を制限しすぎない方が良いのかなと思います。

あとは子どもの好きなことに親が興味を持って、色々聞いてあげるのも大切です。親の方から聞いてみると、本当に生き生きといろんなことを話してくれます。

宿題などやらなければいけないことについては、押し付けるというより「いつまでにやる?」「大丈夫?」という声かけはしていました。

ただ、全部を完璧にできる人はいないので、凸凹があってもいいかなと思っています。

親自身もやりたいことをやることが大切

子育てにどっぷりではなくて、親も仕事や自分のやりたいことをやるのが大切だなと思います。私自身、仕事を始めたことで家庭がうまくいくようになったなという感覚があります。

妻が仕事を始めたときに、「この仕事をやりたい!」と言って始めたのを、子どもたちは見てたなと思っています。

これまでたくさんの親御さんを見てきて思うのは、親がやりたいことをやっていると、自然と子どもたちも好きなことをやっているということです。

逆に「この子やりたいことないんです」と相談してくる親御さんは、仕事を我慢していたり、やりたいことを夫婦間で言い合えていなかったりすることも多いです。

まとめ

子育てに対する考え方から失敗談・葛藤まで赤裸々に語っていただきました。

子どもと対等な関係で、子どもの意思ややりたいことを尊重すること、そして何より親自身が楽しんでやりたいことをやるということを大切にしていきたいですね。

実際のイベントの様子はこちらからご覧になれます。

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