これからの教育について考えたい

失敗力と好奇心~新時代の教育のキーワード~【中曽根陽子さん対談】

2021年5月5日(水)「子どもの日」に開催された、教育ジャーナリスト 中曽根陽子氏×Go Visions代表 小助川将コラボセミナー「失敗力と好奇心~新時代の教育のキーワード~」。


全体で1時間半にわたるセミナーの中から、これからの教育を考える上で重要となるであろうエッセンスを抽出したサマリレポートをお届けします。
(実際のセミナーの様子をご覧になりたい方は、記事の最後に動画を公開しておりますので、チェックしてみてください!)

登壇者紹介

中曽根 陽子

教育ジャーナリスト 有限会社マザークエスト 代表

出産のため小学校を退職後、企画編集会社を立ち上げる。子どもの中学受験をきっかけに教育分野へシフトし、教育ジャーナリストとして紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。偏差値だけに頼らない学校選びを提唱。

2013年、「新しい時代をデザインする」母親の力を育てるための学びの場「マザークエスト」を立ち上げる。近著に『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ!中学校選びの新基準』(ダイヤモンド出版)など。

小助川 将

Go Visions株式会社代表取締役

2003年慶應義塾大学卒業後、戦略コンサルティング会社へ入社。株式会社リクルート、グリー株式会社、株式会社LITALICOを経て、2019年6月Go Visions株式会社を創業。

二児の父で、長男は最年少でWorld Robot Olympiad世界7位入賞し、現在はシンガポールの中学へ進学。長女はネットの高校「N高」に進学。

セミナーテーマ

今回のセミナーは、500名を超えるお申し込みと、100件以上の事前質問をいただき、大盛況となりました!子育てに悩む親御さんからいただいた質問をもとに決定した、セミナーのテーマは3つ。

令和時代の教育や受験はどうなっていくのか

2020年は、センター試験の廃止と「大学入学共通テスト」のスタートという大きな変化を中心に、学校教育におけるパラダイムシフトが起き始めた年です。また、大学入試以外にも以下のような変化がありました。

学習指導要領の変化:小学校におけるプログラミング教育が必修化されるなど、2020年の学習指導要領改定で内容が大きく変化。

GIGAスクール構想:全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。新型コロナウイルス感染拡大の影響で急速に整備が進んでいる。

日本の教育がどのように変化しようとしているのか、端的に表すと、

今までの教育:インプット型の教育。知識をインプットし、テストで正解を出すことが求められる。
これからの教育:アウトプット型の教育。思考力・判断力・表現力や学んだことを社会で生かす力重視される。

ということができます。

受験はどう変わるか

学校教育の変化を受け、これからの受験はどのように変化していくのでしょうか。新学習指導要領下で学んだ子どもたちが大学を受験するのは2024年

この年に、プログラミングが入試科目に組み込まれるなど、大学入試に大きな変化が起こるとされています。

しかし、現時点ですでに、大学入試に占めるAO入試や推薦入試の割合は約半数を占め、偏差値で表すことのできない主体性や表現力が重視され始めています。また、大学入試にとどまらず一部の私立中学校でも、以下のような先進的な入試方法が取り入れられているのです。

・記述型の適性検査
・自己アピール入試
・PBL(project based learning)※

課題解決型学習。グループワークなどを通して答えのない課題に取り組む。

受験・入試においては、今後ますます「何をしてきたか」「これからどうしていきたいか」が重要になってくると考えられます。

どのように学校を選べばよいか

偏差値で表されない能力の重要性が増す一方、子どもの受験となるとやはり偏差値が気になってしまうという親御さんも多いはず。しかし、これからの学校選びにおいて大切なのは、自分軸を持つことです。

自分に合っている学校は子どもや家族の状況によって異なるため、偏差値だけではなく、学校が「どんな人を育てようとしているのか」に注目しましょう。

これからの親の役割・子育てはどうなっていくのか

社会や教育の変化を踏まえて、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力は、

・自分で考えて自分で決める力
・自分で自分の人生を切り拓く力

であるといえます。こうした力を育むために、親は子どもにどのように関わればよいのでしょうか。

「失敗力」を育てる

子どもはいろいろなことに挑戦するなかで、好きなこと・得意なことを見つけ、生きる道しるべを探していきますが、それらはすぐに見つかるものではありません。

親の役割は、安全な環境の中で、子どもに小さな失敗をたくさんさせること。

子どもが失敗するかもしれないと感じると、止めてしまったり、失敗しないようにお膳立てをしてしまったりする親御さんも多いのではないでしょうか。

しかし、自分で自分の人生を切り開く力を身に付けるには、子どもに失敗を経験させ、そこから学ぶ力を付けることが大切なのです。

子どもの意志を尊重する

自己決定ができる子どもを育てるためには、親がレールを敷くのではなく、子どもの意志を尊重することが大切です。

子どもが悩んでいるときには、材料や選択肢を示すことで、自分で決めるサポートをしてあげましょう。

ついつい選択を誘導してしまいそうなときは、
「お母さんはこう思うけど、お父さんにも聞いてみたら?」
「さっきはお母さんの意見に引っ張っちゃった気がするけど、実際はどう思ってる?」

これらのフレーズを使ってみましょう。誘導してしまったと思ったら「親も間違えることがある」と認めて、もう一度話すことも大切です。

子どもが自分らしく未来をつくるために必要なチカラってどんなもの?

幸せに生きるための自己決定力

中曽根氏は、「自分の進路について自分で決定した人は、そうでない人に比べて幸福度が高い」ことがデータで証明されているといいます。

興味のあること・やりたいことを見つけ、自分で将来を選択する力が幸せに生きるためのカギであるといえます。子どもの好きなことや夢中になっていることは、親から見ると理解できないことかもしれません。

例えば、子どもが夢中になっていると心配になるものの一つがゲームではないでしょうか。

しかし、現在ではプロゲーマーという職業が生まれたり、社会課題解決とゲームをかけ合わせた新しい事業が生み出されたりしていて、大きな可能性のある領域でもあるのです。親が理解して学びに繋げてあげることで、子どもの興味をより良い方向に向けることができます。

未来をつくるグロースマインドセット

グロースマインドセットとは、「能力は生まれつきで変えられない」と信じるフィクストマインドセットに対して、「能力は努力や方法によって変えられる」と考えるマインドセットのこと。

これを身に付けるには親の「支援的な関わり方」が大切です。支援型の親の関わり方とは、子どもに圧力をかけて決めるのではなく、対話して納得させながら一緒に決める関わり方。

常にこのような関わり方をすることによって、難題に直面したとき「自分の能力ではできない」と思うのではなく「まだできないけど努力や工夫で乗り越えられる」と考えることができる子どもが育つのです。

子育てコミュニティ「マザークエスト」

中曽根氏の運営する子育てコミュニティ『マザークエスト』では、教育や子育てに役立つ情報配信やセミナー、トークカフェの開催など、子育てを探求するコンテンツが盛りだくさん。

また、今年5月にスタートした『エン活部』限定の特典もたくさんあるので、お見逃しなく!

好奇心に火がつくオンラインの学び場「SOZOW」

Go Visionsが提供する『SOZOW』では、幅広いテーマのオンラインライブに参加し、子どもの好奇心を見つけ、探求することができます。また、ホームミッションや子どもどうしのコミュニティで好奇心がより深まります。

まとめ&対談動画

「失敗力」や「好奇心」をキーワードに新時代の教育について語った今回のセミナー。これからの時代の教育の変化、子どもたちに必要なチカラ、親の役割をまとめるとこのようになります。

『マザークエスト』や『SOZOW』を活用しながら、子育てを探求し、新しい時代を生きる子どもたちの好奇心を応援していきましょう!

実際の対談の様子はこちらから!

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