イベント

社会起業家が子どもたちに伝えたい「”変わり者”だけが世界を変える」

経営者や活動家、クリエイターなどさまざまな分野のプロが毎月登場する、SOZOWのプロLIVE。

子どもたちは、お仕事についてのお話を聞いたり気になることを質問をしたりして、新たな世界に触れることができます。

今回は、e-Education代表の三輪さんをゲストにお迎えしたプロLIVEの様子をお届けします。

逆境を乗り越え世界で活躍する三輪さんが、社会起業家※になるまでの道のりや世界を舞台にする楽しさを子どもたちに語ってくれました!

※社会起業家とは

起業家の中でも、様々な社会問題への取組みを事業として起ち上げる人を指す。三輪さんは世界の学びの格差の問題に取り組んでいる。

登壇者紹介

三輪 開人

e-Education代表 ”世界をよくする社会起業家”

バングラデシュで見た少女をきっかけに、社会起業家として活動することを決意。

世界の子どもたちへ映像授業を届けるe-Educationの活動は、今やネパールやバングラデシュをはじめ、世界14カ国以上で展開。

これまで活動を通じて映像授業を届けた中高生の人数は3万人にものぼる。

今回のガイド:コッシー

「めざせ!お金マスター」「起業家になろう」をはじめとし、さまざまなシリーズに登場するSOZOWガイド。

子どもたちが未来に希望を持てる学びを目指します。

”世界をよくする社会起業家”ってどんなシゴト?

三輪さんが社会起業家になったワケ

三輪さんが主に活動するバングラデシュでは、夜11時過ぎにもかかわらず、街灯の下で勉強したり寝ていたりする子がいるそうです。

夜11時、みんなが眠たくなるような時間に、なぜこの子は街灯の下で勉強をしているのでしょうか?


家にいたら兄弟とかうるさいけど、外だったら落ち着いて勉強できるから。

家に電気が繋がってなくて、外の街灯を使って勉強しているから。

みんな大正解だね!

家に電気が通っていない、家にいる赤ちゃんに迷惑をかけたくないという理由のために、外で勉強している中学生高校生のお兄ちゃんお姉ちゃんがたくさんいる。

バングラデシュのことをもっと知ってもらうために補足すると、昼間に勉強する時間がないからっていう子もいたんだよね。

男の子だったら、お父さんの畑仕事を手伝わなくちゃいけなかったり、女の子だったら、お母さんと一緒に妹たちのご飯をつくってあげなくちゃいけなかったり。

だから、夜しか勉強する時間がない子がたくさんいるんだよね。しかも、学校もない、先生もいない。そんな状況で暮らしている子を見て、かわいそうだなって思ったんだ。

e-Educationの活動

そこでぼくが始めたのが、世界の子どもたちに映像授業を届ける「e-Education」っていうサービスなんです。

家に電気や明かりがない状況で、どうやって映像授業を届けてるんですか?

いい質問ですね。

でも、電気や明かりがなくてもスマートフォンなら使えるんじゃないかって思ったんです。
スマートフォンの中に動画が保存してあれば、インターネットに繋がってなくても好きなときにいつでも見られるんじゃないかなって。

学びたくても学べない子たちのための教育なんですね。
ちなみに今まで世界何カ国くらいに授業を届けているんですか?

ぼくたちは世界14の国と地域で活動しています。

すごい!たしかにスマホで学べるなら国境を越えていくことができますもんね。
ちなみに、とくに重点的に活動している国はあるんですか?

最近は、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、フィリピンなど、主にアジアの国で活動していますね。

ちなみに今まで映像授業を届けた人数ってどれくらいなんですか?

これまで3万人以上の子どもたちに、スマホを渡したりして映像授業を届けてきました。

子どもたちの夢を守る「隠れた社会起業家」たち

夢を諦めなくてはならない子どもたち

今までのお話を聞いていると、日本の学校と世界の学校は全然違うようですが、ほかにもどんな違うところがあるのか。まずは子どもたちにも聞いてみましょう。

日本は小学校から中学校まで絶対に行かなくちゃいけないってルールがあるから、日本なら絶対に学校に行ける。

でも、インドでは、ショッピングモールにいても、いっぱいお金を持っている人と全然お金を持ってない人たちで分かれてる。インドには日本のように、学校に行かなくちゃいけないってルールもない。

すごいね、かいしくん。教えてくれてありがとう。

今日はせっかくなので、インドの隣にあるネパールについても知ってほしいなって思います。
ここでまたクイズです。

ネパールも日本と同じように、誰でも小学校から中学校に進学できるのですが、ネパールでは中学校を卒業するには試験を受けて合格する必要があります。

さて、その試験には100人中何人くらいが合格できるでしょうか?

自分の考えを発表する子どもたち

さすがプロライブを見てるみんな、鋭いね。

正解はなんと、40人なんだ。でもこれは平均だから、学校によっては10人とか5人しか合格できないところもあるんだよ。

しかも、ネパールの試験はとても厳しくて、すべての科目で合格点を取らないといけないから、一科目でも苦手科目があるととても厳しいんだ。挑戦できるのも一回だから半分以上の子が合格できない。つまり、卒業もできないんだ。

え!?卒業できなかった子たちはどうなっちゃうの?

e-Educationで夢を諦めなくてもいい人が2倍に

みんなは中学校を卒業したら高校とか大学に進むと思うんだけど、中学を卒業できなかったネパールの子たちはそれができない。

でも、世の中にはお医者さんだったり学校の先生みたいに、大学を卒業していないと就けない仕事がたくさんあるんだ。

だから、ネパールやインドに住む中学校を卒業できなかった子たちは、そのタイミングで自分の夢やなりたい職業を諦めなくちゃいけなかった。それがとっても悔しくてね。

ちなみに、生徒たちのなかで、いちばん苦手科目として挙げられたのが算数とか数学だった。

ネパールの試験に合格するためには苦手科目で合格点を取ることが大切だったから、ぼくたちは、一人ひとりのペースに合わせて勉強ができる仕組みをつくったんだ。

ビデオを見ながら自分のペースに合わせて勉強することで、苦手科目も克服できるようになった子もたくさんでてきたんだよ。

たしかに、映像なら自分が理解できるまで何回も巻き戻して見れるからね。

みんな、三輪さんのe-Educationを受けた子どもたちがどう変わったのか気にならない?
これがすごいビックリする結果になったんですよね?

そうなんです!ぼくたちe-Educationのサポートを受けた子どもたちは、なんと100人中80人が中学校を卒業することができました!

夢を諦めなくていい人が倍になったんだって!

でもまだまだこれは途中なんです。これは活動をはじめて1,2年目の数字だから、今はもっと上がってると思いますし、100人中100人になるまでぼくたちは挑戦を諦めないって決めてるんです。

かっこいいですね!

でも実は、これはぼくたちだけの力だけで成し遂げたことじゃないんです。

自分の子どもだけじゃなくて、海外の子どもたちも応援したいということで、寄付を通して協力してくれるお父さんお母さんが本当にたくさんいて。

今日は、社会起業家ということでぼくを呼んでくださったと思うんですけど、できることならそういうお父さんお母さんたちも全員、社会起業家としてここに呼びたいです。

なぜなら、そういう大人たちの協力もあって、ネパールでも夢を諦めなくて済んだ子どもたちがたくさんいる。隠れた社会起業家はいっぱいいるんです。

「”変わり者”だけが世界を変えていく」

海外に興味を持った理由は「本気で海賊になりたかった」から

今や世界で活躍されている三輪さんですが、なんで「世界」に興味を持ち始めたのか。みんな気にならない?

実は、ぼくが世界に興味を持ち始めたのは小学校4年生の時なんです。
海外にも一度も行ったことがなかったのになんで急に海外に興味を持ち始めたのかというと、キッカケはこれなんです。

みんなこれ知ってるかな?

ワンピース!海賊王になる話。

ちなみにはるき君は海賊になりたい?

なりたくありません!

そうだよね。(笑)

なんで今の質問したかというと、ぼくは海賊になりたいって本気で思ってたんだよね。仲間を集めながら、いろんな場所に行きたいなって思ってたらいつの間にか社会起業家になってたんだよ。

一番辛かった言葉は「お前にはムリ」

世界で挑戦するにあたっていちばん大変だったことは何だったんですか?

実は、バカにされたんです。

友だちとか親とかみんなに、「お前そんなに頭良くないのに、海外の子どもたちに勉強教えるなんてムリムリ!」って。

だから海外に行ってからよりも、行くまでの方がすごい辛かったですね。

友だちもぼくを心配して言ってくれてたと思うんだけど、「絶対にムリだよ!」とか言われるとイラっとしちゃって。「本当にムリなのかな?」とか思っちゃうときもありました。

でも、みんながそうやって止めに来たのに、海外に一歩踏み出そうと思ったキッカケって何だったんですか?

実は大学の先生で「海外に挑戦したいんです!」って言ったら、「お前ならできる!」って応援してくれた先生がいたんです。その先生に言われた言葉を今でも覚えていて、

”Only crazy people can change the world.”

日本語に訳すと、「”変わり者”だけが世界を変えていく」って意味なんです。

たしかに、その当時は三輪さんの周りには「世界で挑戦したい!」って言ってる人がいなかったから、三輪さんは変わり者だったんですね。

重要なのは、変わり者「だけが」世界を変えるってことです。天才でも普通の人でもない。100人いたら99人がやらなさそうなことをしている人だけが世界を変えられるんです。

辛いことの反対で、「世界で挑戦することの楽しさ」はどんなことがありますか?

世界で挑戦するってなかなか難しいと思われそうなんだけど、どこに行っても”Welcome back!!”。日本語にすると「おかえり!」って言ってくれるんです。

これすごいうれしくて、どの国に行っても言ってくれます。もはや家族です。

だから、世界のどの国で活動していたとしても、「おかえり!」って言ってくれる仲間がいてくれることが、世界で挑戦することの楽しさですね。

とても素敵ですね。世界中に仲間や家族ができるかもしれないんですね。

みんながしたい大きな挑戦は?

じゃあ今度は、みんなが「こんなチャレンジしてみたい!」ってことを教えてください。お父さんお母さんの目は気にしなくていいからね。(笑)

マインクラフター!

学校を変えたいなって思います。今は同じ学年同士の交流しかないけど、6年生が1年生に勉強教えたりしたい!

火星に住みたい!

YouTuber!

たくさんの挑戦を発表してくれました!

すばらしいですね!今みんなが挙げてくれたことに対して心配したりしてくれる人がいるかもしれないけど、みんなならできるから大丈夫!

「世界をひっくり返す!」三輪さんの挑戦

では最後に、これからどんな挑戦をしていきたいかを教えてください!

ぼくは「世界をひっくり返したい!」って思っています。

今は世界の貧しい人たちを、アメリカやヨーロッパの人たちが助けてあげることが常識になってるんだけど、ぼくはこれを逆にしたいです。

さっきも見せたように、ネパールにいる子どもたちもがんばってるし、彼らの方が力も才能もあるかもしれない。だからぼくはその可能性を信じたいなって思っています。

今プロライブを見てくれている子も含めて、世界中の子どもたちと一緒に世界を変えていきたいなって。

国なんて関係ない。世界の間違ってるルールを子どもたちと一緒にぶち壊していきたいって本気で思っています。

聞いててワクワクしました。世界中の子どもたちと協力して、いろんなことをやっていきたいということなんですね。

子どもたちが三輪さんに聞きたいこと

最後に子どもたちからの三輪さんへの質問を募集したところ、たくさん手が上がりました!
その一部をご紹介します。

今の日本の子たちに期待していることは何ですか?

みんなと同じにならないでほしい。

さっきも言ったように「変わり者だけが世界を変えられる」から、クレイジーな人になってほしいな。みんなにはそのまま挑戦し続けてほしいです。

なんで最初にバングラデシュに行ったんですか?

2010年に「アジア最貧国」で調べたらバングラデシュが出てきたの。
SDGsをクリアしたいなら一番困っている国に行くのがいいなって思ったから、行ったのがバングラデシュだったんだよね。

インドにいる貧しい子たちのために、ぼくたちは何ができますか?

最高な質問だね。かいしくんは何ができそうだと思う?

ぼくのお父さんみたいにビジネスをつくって、そのお金で貧しい人を支援したいです。

すごい!もう答えが出てるね。最高の褒め言葉で君はもう十分クレイジーだよ!

みんな今日は90分も聞いてくれてありがとう。

みんな間違いなく世界を変える”Crazy people”だ!
もっというと、創造力溢れるみんなが世界を変えていくと本気で信じているし、そんなみんなの活動を全力で応援するので、やりたいことがあったら全部やろう!

まとめ

世界で挑戦する三輪さんから、刺激的なお話をたくさん聞くことができました。

世界で戦う三輪さんの熱い言葉に影響を受け、廃油を使って石鹸をつくり、それを売って途上国に寄付をする活動をはじめた子もいました!

起業家をはじめとしたさまざまな分野のプロから直接お話が聞ける機会は、子どもたちの好奇心に火を付ける貴重な機会。SOZOWのプロLIVEを今後もお楽しみに!

この記事をシェアする

オススメ記事

SOZOWについて
SOZOWは子どもってすごい!に気づく場所(小3女子・保護者)
これからの教育について
メルカリ会長が子どもたちに伝える「好き」のチカラ
SOZOWについて
「SOZOW」を通じて、子どもの「好奇心」の大切さを伝えたい